つの三角形の不等関係というのは,
● 二等辺三角形の底角は等しい.
● 三角形の つの頂点の外角は, 残りの つの頂点の内角の和に等しい.
という性質から演繹されるものである.
において であることと は同値である.
まず, を仮定すると, となるよう, 線分 上に がとれる.
から, である. これと, と から, である. すなわち, ならば である.
次に, を仮定する. でないとすると, または である. とすると は二等辺三角形であり, となって矛盾する. とすると, 前半に証明したことから となって矛盾する. , , のいずれかひとつは成立するので, ならば である.//
※以上から, 次がいえる.
• 直角三角形の斜辺は他の 辺のどちらよりも大きい.
・鈍角三角形の鈍角に対する辺は他の 辺のどちらよりも大きい.
・ において ならば, であるので, となり, は鋭角である.//
今度は の延長上に となるよう をとる.
三角形の 辺の長さの和は他の 辺の長さよりも大きい.
したがって を考えると, 前の結果から,
である.//
三角形の 辺の長さの差は他の 辺の長さよりも小さい.
から かつ である. つまり, かつ であり, から,
である.//
内の任意の一点を とすれば, である.
の延長と の交点を とする.
これから,
したがって,
となる.//
三角形の三中線の和は, 三角形の周よりも小さく, 周の よりも大きい.
の延長に となるように, をとる.
なので, であり,
となる. 同様にして,
となる. したがって,
である. 次に,
であるから,
となる. ところが, 重心の性質より,
だから,
となる.//
三角形の一角の二等分線は, この角の頂点から対辺に引いた垂線と中線の間にある.
とする. ひとつ前の命題の証明とその図で, から, だから, の場合は, となり, したがって,
である. 三角形の合同から,
なので,
である. これから, 中線は, 角 の二等分線と が挟む角 の間にある.
次に, なので,
であることから,
となり, 垂線は, 角 の二等分線と が挟む角 の間にある. 以上から, は と の間にあることがいえた.
の場合も同様に証明できる. また, の場合には, , , は一致する.//
(この稿つづく)