ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (191)

一つの三角形の不等関係というのは、

● 二等辺三角形の底角は等しい。
● 三角形のひとつの頂点の外角は、残りの二つの頂点の内角の和に等しい。

という性質から演繹されるものである。

1)  \triangle ABC において  AB \gt AC であることと  \angle C \gt \angle B は同値である。
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まず、 AB \gt AC を仮定すると、 AD = AC となるよう、線分  AB 上に  D がとれる。

 \angle ADC = \angle B + \angle DCB

から、 \angle ADC \gt \angle B である。これと、 \angle ACD = \angle ADC と  \angle C \gt \angle ACD から、 \angle C \gt \angle B である。すなわち、 AB \gt AC ならば  \angle C \gt \angle B である。

次に、 \angle C \gt \angle B を仮定する。 AB \gt AC でないとすると、 AB = AC または  AB \lt AC である。 AB = AC とすると  \triangle ABC は二等辺三角形であり、 \angle C = \angle B となって矛盾する。 AB \lt AC とすると、前半に証明したことから  \angle C \lt \angle B となって矛盾する。 AB \gt AC,  AB = AC,  AB \lt AC のいずれかひとつは成立するので、 \angle C \gt \angle B ならば  AB \gt AC である。//

※以上から、次がいえる。
• 直角三角形の斜辺は他の二辺のどちらよりも大きい。
・鈍角三角形の鈍角に対する辺は他の二辺のどちらよりも大きい。
 \triangle ABC において  AB \leq AC ならば、  \angle C \leq B であるので、 2C \leq B + C \leq 180^\circ となり、 \angle C は鋭角である。//

今度は  AB の延長上に AD = ACとなるよう  D をとる。

2) 三角形のニ辺の長さの和は他の一辺の長さよりも大きい。

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 \angle BDC = \angle ACD \lt  \angle BCD

したがって  \triangle BCD を考えると、前の結果から、

 BD = BA + AD = BA + AC \gt BC

である。//

3) 三角形のニ辺の長さの差は他の一辺の長さよりも小さい。

2) から  a \lt b + c かつ  b \lt a + c である。つまり、 a - b \lt c かつ  b -a \lt c であり、  \max\{a-b, b-a\} \lt c から、

|a-b| \lt c

である。//

 \triangle ABC 内の任意の一点を  P とすれば、 PB + PC \lt AB + AC である。

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 BP の延長と  AC の交点を  D とする。

 PB + PD \lt AB + AD \\
PC \lt  PD + DC

これから、

 PB + PC + PD \lt AB + AD + DC +PD

したがって、

 PB + PC \lt AB + AC

となる。//

三角形の三中線の和は、三角形の周よりも小さく、周の \displaystyle{ \frac{3}{4}} よりも大きい。

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 AD の延長に  AD = AH となるように、 H をとる。

 AH = 2AD \lt AB + BH

 \triangle ADC \equiv \triangle HDB

なので、 BH = AC であり、

 2AD \lt AB + AC

となる。同様にして、

 2BE \lt AB + BC\\
2CF \lt BC + AC

となる。したがって、

 AD + BE + CF \lt AB + BC + CA

である。次に、

 AB \lt AG + BG\\
BC \lt BG + CG\\
CA \lt CG + AG

であるから、

 AB+BC+CA \lt 2(AG + BG+CG)

となる。ところが、重心の性質より、

 \displaystyle{AG = \frac{2}{3}AD \\
BG = \frac{2}{3}BE \\
CG = \frac{2}{3}CF}

だから、

 \displaystyle{\frac{3}{4}(AB+BC+CA) \lt AD + BE + CF}

となる。//

三角形の一角の二等分線は、この角の頂点から対辺に引いた垂線と中線の間にある。

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 AB \gt AC とする。ひとつ前の命題の証明とその図で、 \triangle ADC \equiv \triangle HDB から、 BH = AC だから、 AB \gt AC の場合は、 BH \lt AB となり、したがって、

 \angle BAD \lt \angle AHB

である。三角形の合同から、

  \angle AHB = \angle DAC

なので、

 \angle BAD \lt \angle DAC

である。これから、中線は、角  A の二等分線と  AB が挟む角  \angle BAE の間にある。

次に、 AB \gt AC なので、

 \angle B  \lt \angle C

であることから、

 \angle BAF  \gt \angle CAF

となり、垂線は、角  A の二等分線と  AC が挟む角  \angle CAE の間にある。以上から、 AE AD AF の間にあることがいえた。

 AB \lt AC の場合も同様に証明できる。また、 AB = AC の場合には、 AD, AE, AF は一致する。//


(この稿つづく)