ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (186)

簡単な問題。

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 O に内接する  \triangle ABC の頂点  A から辺  BC に垂線を下ろし、垂線の足を  H とする。また線分  AO を延長し再び円周と交わる点を  D とする。

 \triangle ABH \triangle ADC は相似だから、

 \displaystyle{\frac{AB}{AH}=\frac{AD}{AC}}

したがって、

 \displaystyle{AB \cdot AC=AD \cdot AH}

である。

 BC = a, \ CA = b, \ AB = c, \ AD = 2R とすれば、

 \displaystyle{ \triangle ABC = \frac{1}{2}BC \cdot AH} から、

 \displaystyle{\triangle ABC = \frac{abc}{4R}}

である。(もっともこの式は、 \displaystyle{\frac{1}{2}bc\sin A} に正弦定理を適用すればすぐ出る。)

 2s = a + b + c とすれば、ヘロンの公式より、

 \triangle ABC = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}

なので、 \triangle ABC の外接円の半径  R は、

 \displaystyle{R = \frac{abc}{4\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}}}

で与えられる。
//

※ 内接円の半径を  r とすると、

 \displaystyle{\triangle ABC = \frac{abc}{4R} =rs}

なので、

 abc = 4Rrs

である。さらにヘロンの公式から

 s(s-a)(s-b)(s-c) = r^2s^2

なので、

 \displaystyle{s^3 -(a+b+c)s^2 + (ab + bc + ca)s -abc\\ = s^3-2s^3+(ab + bc + ca)s -4Rrs \\=r^2s}

となり、

 ab + bc + ca = s^2 + r^2 + 4Rr

である。つまり、基本対称式は以下となる。

 \displaystyle{\begin{cases} a+ b + c = 2s \\ ab + bc + ca = s^2 + r^2 + 4Rr\\
abc = 4Rrs \end{cases}}

任意の対称式は基本対称式で表わすことができるので、三角形の辺  a, b, c に関する対称式は、 s, r, R の多項式として表わすこともできる。//

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 O に内接する  \triangle ABC \angle A の二等分線が、辺  BC と交わる点を  D, 円周と交わる点を  M とする。

 \triangle ABD \triangle AMC は相似だから、

 \displaystyle{\frac{AB}{AD}=\frac{AM}{AC}}

したがって、

 \displaystyle{AB \cdot AC=AD \cdot AM}

である。

※ さらに方べきの定理を使って

 \displaystyle{\begin{align}AB \cdot AC &=AD \cdot AM\\&= AD(AD+DM)\\&=AD^2 + AD\cdot DM\\&=AD^2+BD\cdot DC
\end{align}}

とするのが、よく公式として出ている。

なお、 AD の長さを求めるには、

 BC = a, \ CA = b, \ AB = c

として、 c:b = BD:DC から、

 \displaystyle{BD = \frac{ac}{b+c}}
 \displaystyle{DC = \frac{ab}{b+c}}

なので、

 \displaystyle{\begin{align} AD^2 &= bc - \frac{a^2bc}{(b+c)^2}\\&= \frac{bc(b+c+a)(b+c-a)}{(b+c)^2}\end{align}}

から、

 \displaystyle{\begin{align} AD &= \frac{\sqrt{bc(b+c+a)(b+c-a)}}{b+c}\end{align}}

である。 2s = a + b + c を使い、 \angle A の二等分線の長さとして  AD= L_A と書けば、

 \displaystyle{\begin{align} L_A &= \frac{\sqrt{bc(2s)(2s-2a)}}{b+c} \\&= \frac{2\sqrt{bcs(s-a)}}{b+c} \end{align}}

同様にして、

 \displaystyle{L_B = \frac{2\sqrt{cas(s-b)}}{a+c} \\
 L_C = \frac{2\sqrt{abs(s-c)}}{a+b} }

だから、

 \displaystyle{L_A \cdot L_B \cdot L_C \\ = \frac{8abcs\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}}{(a+b)(b+c)(c+a)} }

で、

 S = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}

とすれば、

 \displaystyle{\begin{align} L_A \cdot L_B \cdot L_C &= \frac{8abcsS}{(a+b)(b+c)(c+a)} \end{align}}

である。
//

 \angle A の外角の二等分線の場合も同様に、 \triangle ABD \triangle AMC は相似だから、

 \displaystyle{\frac{AB}{AD}=\frac{AM}{AC}}

が成り立つ。

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さらに方べきの定理を使えば

 \displaystyle{\begin{align}AB \cdot AC &=AD \cdot AM\\&= AD(DM - AD)\\&= AD\cdot DM -AD^2 
\\&=BD\cdot DC -AD^2 
\end{align}}

となる。この式を使って前の例のように  AD の長さを求めると、

て、 c:b = BD:DC から、

 \displaystyle{BD = \frac{ac}{|b-c|}}
 \displaystyle{DC = \frac{ab}{|b-c|}}

なので、

 \displaystyle{\begin{align} AD^2 &= \frac{a^2bc}{(b-c)^2} -bc\\&= \frac{bc(a+b-c)(a-b+c)}{(b-c)^2}\end{align}}

から、

 \displaystyle{\begin{align} AD &= \frac{\sqrt{bc(a+b-c)(a-b+c)}}{|b-c|}\end{align}}

である。
//

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今度は円  O に内接する  \triangle ABC は、 AB = AC の二等辺三角形である。辺  BC 上に点  D をとり、 AD の延長と円周と交わる点を  E とする。

 \triangle ABD \triangle AEB は相似だから、

 \displaystyle{\frac{AB}{AD}=\frac{AE}{AB}}

したがって、

 \displaystyle{AB \cdot AC=AB^2=AD \cdot AE}

である。

※ 別解:  \angle ABC = \angle BED だから、点  B, D, E を通る円を考えると  AB はその円への接線である。したがって方べきの定理から  AB^2 = AD \cdot AE である。//

※ 前の例と同じように上の結果にさらに方べきの定理を使えば、

 \displaystyle{\begin{align}AB^2&=AD \cdot AE\\&=AD \cdot (AD + DE)\\&=AD^2+AD \cdot DE \\&= AD^2 + BD \cdot DC\end{align}}

となる。なお、 D BC の中点である特別な場合には、この式はピタゴラスの定理を与えることがわかる。//

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 O に内接する四角形  ABCD で、 BC=CD とすると、 \triangle CDB は二等辺三角形だから、

 BC^2 =CE \cdot CA

 AC \angle A の二等分線だから、

AB \cdot AD = AE \cdot AC

したがって、

 AB \cdot AD + BC^2 = AC^2

である。

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A A を通るもう一つの円があって、円  A の点  E における接線が、もう一つの円と交わる点を  B, C とすると、

 AB \cdot AC = AE \cdot AD

だから、 AB \cdot AC は定値である。

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四辺形  ABCD の外接円の直径を      d とすると、 \triangle  OEB \triangle OFD が相似であることにも注意して、

 \displaystyle{\begin{align}\frac{AB \cdot BC}{AD \cdot CD}&=\frac{BE \cdot d}{DF \cdot d}\\ &= \frac{BE}{DF}\\ &= \frac{OB}{OD}\end{align}}

合比の理 *1より、

 \displaystyle{\begin{align}\frac{AB \cdot BC + AD \cdot CD}{AD \cdot CD}&=\frac{OB + OD}{OD}\\&= \frac{BD}{OD}\end{align}}

同様にして、

 \displaystyle{\begin{align}\frac{AB \cdot AD}{BC \cdot CD}&=\frac{AG \cdot d}{CH \cdot d}\\ &= \frac{AG}{CH}\\ &= \frac{OA}{OC}\end{align}}

合比の理より、

 \displaystyle{\begin{align}\frac{AB \cdot AD + BC \cdot CD}{BC \cdot CD}&=\frac{OA+ OC}{OC}\\&=\frac{AC}{OC}\end{align}}

したがって、 \triangle OAD \triangle OBC が相似であることと方べきの定理も使って、

 \displaystyle{\begin{align}&\frac{AB \cdot BC + AD \cdot CD}{AB \cdot AD + BC \cdot CD} \\&=\frac{BD}{AC}\cdot\frac{OC}{OD}\cdot \frac{AD}{BC} \\&= \frac{BD}{AC}\cdot\frac{OC}{OD}\cdot \frac{OA}{OB}
\\&=\frac{BD}{AC}\end{align}}

となる。

*1: \displaystyle{\frac{a}{b}=\frac{c}{d}} ならば  \displaystyle{\frac{a}{b} + 1 =\frac{c}{d}+1} であることを「合比の理」という。