ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (183)

バラ科シモツケソウ属。それ以上の区別はいまだにできない。
f:id:noriharu-katakura:20210522193829j:plain

バイカウツギ。
f:id:noriharu-katakura:20210522193832j:plain

複素数を使って初等幾何を扱う練習。以下断らない限り、平面は複素平面で、円は単位円である。

f:id:noriharu-katakura:20210522120523j:plain

上図で異なる点を  A(a), B(b), C(c), D(d) として  AB CD が平行である必要条件を求めてみる。

 AB CD が平行であるとすると、 \displaystyle {\stackrel {\huge \frown} {AC}= \stackrel{\huge\frown}{BD}} だから、

 \displaystyle{\frac{c}{a} = \frac{b}{d}}

である。つまり、 ab = cd である。逆もそのままたどれば成立つ。//

次に  AB CD が直交する必要十分条件を求めてみる。

f:id:noriharu-katakura:20210522123620j:plain

 A を通り  CD に平行な直線を引き、単位円との交点を  E(e) とすれば、 e = -b である。 AE CD が平行な必要十分条件は、先程求めた結果から、 ae = -ab = cd である。したがって、  AB CD が直交する必要十分条件は  ab + cd = 0 である。//

次に円周上の点  A, B を通る直線の方程式を求める。

f:id:noriharu-katakura:20210522131516j:plain

複素数  z が求める直線上にあるための必要十分条件は、 z-a b-a の実数倍であることだったから、

 \displaystyle {\overline{\left(\frac{z-a}{b-a}\right)}= \frac{z-a}{b-a}}

これから、 \displaystyle{\overline{a} = \frac{1}{a}, \ \overline{b} = \frac{1}{b}} なので、

 \displaystyle {\overline{(z-a)}(b-a)= (z-a)\overline{(b-a)}}
 \displaystyle {\left(\overline{z}-\frac{1}{a}\right)(b-a)= (z-a)\left(\frac{1}{b} - \frac{1}{a}\right)}

両辺に  ab をかけて  b-a で割ると、

 \displaystyle {ab\left(\overline{z}-\frac{1}{a}\right)= -z+a}

つまり、

 z + ab\overline{z} = a + b

が求める直線の方程式である。//

直線  AB CD の交点を求める。

f:id:noriharu-katakura:20210522140048j:plain

交点を  Z(z) とすると、

 z + ab\overline{z} = a + b
 z + cd\overline{z} = c+d

から

 cdz + abcd \overline{z} = cd(a + b)
 abz + abcd\overline{z} = ab(c+d)

したがって、

 \displaystyle{z =\frac{ab(c+d)-cd(a+b)}{ab -cd}}

となる。//

A を通る接線の方程式を求める。

f:id:noriharu-katakura:20210522141506j:plain

接線上の点を  Z(z) とすると、 z-a a が直交するので、 \displaystyle{\frac{z-a}{a}} は純虚数である。したがって、

 \displaystyle {\overline{\left(\frac{z-a}{a}\right)}= -\frac{z-a}{a}}
 \displaystyle {\overline{(z-a)}a= -(z-a)\overline{a}}
 \overline{a}z+ a\overline{z}=2
 z+ a^2\overline{z}=2a

である。//

※ 単位円上の二つの点  A(a), B(b) における接線の交点は、 \displaystyle{\frac{2ab}{a+b}} である。//

二つの弦  BC PP' が直交しているとき、その交点  P" を求める。

f:id:noriharu-katakura:20210522145350j:plain

 bc + pp' = 0 から、\displaystyle{ p' = - \frac{bc}{p}} である。

 \displaystyle{\begin{align}p" &= \frac{bc(p+p')-pp'(b+c)}{bc - pp'}\\
&= \frac{bc(p+p')+bc(b+c)}{bc + bc}\\
&=  \frac{p+p'+b+c}{2}
\end{align}}

から、

 \displaystyle{p" = \frac{1}{2}\left(p + b + c -\frac{bc}{p}\right)}

となる。//

単位円に内接する三角形  ABC の垂心  H を求める。

f:id:noriharu-katakura:20210522165339j:plain

 ab + cc' =0
 ac + bb' = 0

だから、

 \displaystyle{\begin{align}h &= \frac{bb'(c+c')-cc'(b+b')}{bb'- cc'}\\
&= \frac{-ac(c+c')+ab(b+b')}{ab-ac}\\
&=  \frac{-c(c+c')+b(b+b')}{b-c}\\
&=  \frac{b^2-c^2+ab-ac}{b-c}\\
&= a+b+c
\end{align}}

である。//

シムソンの定理。単位円の周上の点  P から、内接する三角形  ABC の辺  AB, BC, CA またはその延長上に下ろした垂線の交点を  F,E,G とすると、三点  F, E, G は一直線上にある (この線をシムソン線という)。さらにスタイネルの定理。三角形  ABC の垂心を  H とすれば、 PH の中点  M は、シムソン線上にある。

f:id:noriharu-katakura:20210522173331j:plain

 \displaystyle{e = \frac{1}{2}\left(p + b + c - \frac{bc}{p}\right)}
 \displaystyle{f = \frac{1}{2}\left(p + a + b - \frac{ab}{p}\right)}
 \displaystyle{g = \frac{1}{2}\left(p + c + a - \frac{ca}{p}\right)}
 \displaystyle{m = \frac{1}{2}\left(p+a+b+c\right)}

したがって、

 \displaystyle{f - e = \frac{(a-c)(p-b)}{2p}}
 \displaystyle{g - e = \frac{(a-b)(p-c)}{2p}}

となり、

 \displaystyle{\begin{align}\overline{\left(\frac{f-e}{g-e}\right)} &= \overline{\left(\frac{(a-c)(p-b)}{(a-b)(p-c)}\right)}\\&= \frac{(1/a-1/c)(1/p-1/b)}{(1/a-1/b)(1/p-1/c)}\end{align}}

最後の式をさらに整理すると、

 \displaystyle{ \frac{(a-c)(p-b)}{(a-b)(p-c)} = \frac{f-e}{g-e}}

となる (★)。したがって

 \displaystyle{\overline{\left(\frac{f-e}{g-e}\right)} = \frac{f-e}{g-e}}

となり、 E, F, G は同一直線上にあるので、シムソンの定理が証明された。

同様に、

 \displaystyle{m-e = \frac{ap+bc}{2p}}
 \displaystyle {g-m = -\frac{ca+pb}{2p}}

だから、

 \displaystyle{\begin{align}\overline{\left(\frac{m-e}{g-e}\right)} &= \overline{-\left(\frac{ap+bc}{ca+pb}\right)}\\&= -\frac{\frac{1}{ap}+\frac{1}{bc}}{\frac{1}{ac}+ \frac{1}{pb}}\end{align}}

となり、最後の式を整理すると、

 \displaystyle{-\frac{bc+ap}{ca+bp} = \frac{m-e}{g-m}}

となり、したがって、

 \displaystyle{\overline{\left(\frac{m-e}{g-m}\right)} = \frac{m-e}{g-m}}

なので、 E, M, G は同一直線上にある。//

※ 参考までに京都大学の入試問題を下にあげる。シムソンの定理の証明で、 A, B, C, P は同一円周上にあるのだから、下記の内容がいえ、★から  E, F, G は同一直線上にあることがいえるのである。なお、下の問で定義されている  w のことを「複比」という。

【問】相異なる  4 つの複素数  z_1,\  z_2, \ z_3,\ z_4 に対して、

 \displaystyle{w = \frac{(z_1-z_3)(z_2-z_4)}{(z_1-z_4)(z_2-z_3)}}

とする。このとき、以下のことを証明せよ。

(1) 複素数  z が単位円上にあるための必要十分条件は  \displaystyle{\overline{z} = \frac{1}{z}} である。
(2)  z_1, z_2, z_3, z_4 が単位円上にあるとき、 w は実数である。
(3)  z_1, z_2, z_3 が単位円上にあり、 w が実数であれば、 z_4 は単位円上にある。

【解】
(1) 複素数  z が単位円上にあれば、 |z| = 1 である。したがって、
 \displaystyle{|z|^2 = z\overline{z} =1} なので、\displaystyle {\overline{z} = \frac{1}{z}} となる。逆に、\displaystyle {\overline{z} = \frac{1}{z}} のとき、 \displaystyle{z\overline{z} = |z|^2= 1} から  |z| = 1 となり、  z は単位円上にある。

(2)
(1) の結果から、

 \displaystyle{\begin{align}\overline{w} &=\frac{(1/z_1-1/z_3)(1/z_2-1/z_4)}{(1/z_1-1/z_4)(1/z_2-1/z_3)} \\
&=\frac{(z_1-z_3)(z_2-z_4)}{(z_1-z_4)(z_2-z_3)} \\&= w \end{align}}

となり、 w は実数である。

(3) 仮設から  \displaystyle{w = \overline{w}} である。これと、 z_1, z_2, z_3 が単位円上にあることから、

 \displaystyle{\frac{(z_1-z_3)(z_2-z_4)}{(z_1-z_4)(z_2-z_3)} \\
= \frac{(1/z_1-1/z_3)(1/z_2-\overline{z_4})}{(1/z_1-\overline{z_4})(1/z_2-1/z_3)} }
 \displaystyle{= \frac{(z_1-z_3)(1-z_2\overline{z_4})}{(1-z_1\overline{z_4})(z_2-z_3)}
 }

となり、4 つの複素数はみな異なるので、

 \displaystyle{\frac{z_2-z_4}{z_1-z_4} = \frac{1-z_2\overline{z_4}}{1-z_1\overline{z_4}}
 }

整理すると、

 \displaystyle{(z_2-z_1)(1-|z_4|^2)=0}

 z_2 \neq z_1 なので、

 |z_4|^2 = 1 がいえ、つまり  |z_4|=1 がいえた。したがって  z_4 は単位円上にある。//