調和点列について.
線分 が点 と によってそれぞれ同じ比で内分, 外分されたとき, つまり
のとき, , は を「調和に分ける」と言い, 点 , , , を調和点列という. 調和点列を表わすのに, 記号 あるいは を使うことがある.
すぐにわかるように (比の内項を交換すればよい), , が , を調和に分ければ, , は , をまた調和に分ける.
さらに,
, ,
とおけば,
なので,
となり, 両辺を で割って
したがって,
あるいは,
と書け, 調和級数となる.
次は前の反転の記事との関連で重要なのだが, , , , を調和点列とし, を の中点とするとき,
が成立する. (このとき、 は と の間にあることに注意する.)
なぜなら,
から合除比の理 *1を使って,
ここで
だから,
となって
を得る.//
逆に 同一直線上の点, , , , , がこの順番にあって, が の中点で, を満たすとすると, 上の証明を逆にたどって , , , が調和点列であることがわかる.
を下の図のように調和点列 , , , を含む線外の点とするとき, 直線 , , , のいずれかひとつ平行に引いた直線が他の つの直線に切り分けられる つの線分の長さは等しい. 下の図でいえば ということである.
を通り, に平行な線を引き, , , との交点をそれぞれ , , とすれば, と は平行だから , , , も調和点列をなす. つまり,
.
また, は, と相似であり, は, と相似であることから,
であり, したがって
である. 他の場合も同様に証明できる.//
以上から , , , に交わる任意の直線との交点 , , , が調和点列をなすことが証明できる.
先程の結果から, であったから, である. は, と相似であり, は, と相似であることから,
である. したがって, , , , は調和点列をなす.//
前の記事で出てきた円 に関する反転の例では, 反転円の直径の端点 , を , が調和に分けていることは, もう説明は不要だと思う. なお, 次に出てくるアポロニウスの円の例のように が の 等分線, が の外角の 等分線であることから の角の 等分線と辺の長さの比の関係を使って, , , , が調和点列であることを示すこともできる.
いま, 下の図で, , , , が調和点列であり, 円に内接する四角形 の対角線の交点からの線束を考えれば, , , , も調和点列であることがわかる.
註:
最後に示す, メネラウスの定理とチェバの定理を使うやり方で簡便に証明できる.//
アポロニウスの円. 定点 , と直線 上にない点 をとり, とする (ただし とする). の二等分線と の交わる点を とし, の外角の二等分線と の交わる点を とする. は線分 を に内分する点であり, は線分 を に外分する点である. また, は常に である. , は 線分 を調和に分けるが, ということは , は線分 を調和に分けている. また を直径とする円は, アポロニウスの円と直交することもわかる.
次の例で, の内部に点 をとって三角形の頂点を結んだ線分の延長と三角形の辺の交点を , , とする. 直線 と直線 の交点を とする. また と の交点を とする.
チェバの定理とメネラウスの定理を使って,
したがって,
から , , , は調和点列である. そうすると または からの線束を考えれば, , , , も調和点列である. また, または からの線束を考えれば, , , , も調和点列である.
*1: であれば, だから, である. これから が得られる.