これはややこしいなあ. 点 を中心に点
を角
回転し, 移動した点を
とする. さらに点
とは異なる点
を中心に点
を角
回転し, 移動した点を
とする. そうすると
のとき, 点
から点
への回転の合成は点
を中心に角
回転したものに等しい. ここで 点
は直線
と直線
の交点である. また, 直線
は点
を通る直線で, 直線
を始線として時計回りに
であり, 直線
は点
を通る直線で, 直線
を始線として反時計回りに
である.
なぜなら, まず点 から点
への移動は, 点
を直線
を対称軸にして点
に対称移動させ, 次に点
を直線
を対称軸にして対称移動させることによっても実現できる.
次に点 から点
への移動は, 点
を直線
を対称軸にして点
に対称移動させ, 次に点
を直線
を対称軸にして対称移動させることによっても実現できる.
すると点 から点
への移動は, 点
を直線
を対称軸にして点
に対称移動させ, 次に点
を直線
を対称軸にして対称移動させることによって実現できる.
いま, 直線 と直線
が交わるとして (これは
のときに相当する), その交点
を原点にとり,
軸を
に平行にとる. 以前の記事で原点を通る直線を軸とする点の対称移動についてはすでに求めている.
そうすると, 変換行列は,
となり, この行列は, 角 の回転を表わしている. よって
のとき, 点
から点
への回転の合成は点
を中心に角
回転する変換に等しい.
次に直線 と直線
が平行で交点を持たないときを考える. (これは
のときに相当する.) 下の図からわかるように, このとき
から
への移動は平行移動で,
の長さは直線
と直線
の距離の
倍で, 移動方向は直線
および
と垂直であり,
から
の向きである. 平行移動は平面上の点を例外なく別の点に移動させるので,
の回転の合成のとき, 不動点が存在すれば
と
が一致する恒等変換であると結論できる.
ところで, いま平面上の異なる点 ,
,
について, 点
を中心にある点を
反時計周りに回転し別の点に移ったとする. さらにその点を点
を中心に
反時計周りに回転すると, 最初の点とも回転前の点とも異なる点に移ったとする. (
とする.) さらにさらにその点を点
を中心に
(
) 反時計周りに回転すると一番最初の点に戻ったとする.
点 ,
のまわりの回転の合成は, ある点
を中心とする
の回転であるが, 点
まわりの回転の合成で元の点に戻るので, 両者の合成は恒等変換以外には考えられず, したがって, 点
は点
と一致し,
から, 点
,
,
はそれぞれ
,
,
の角の三角形となる.
たとえば, ナポレオンの定理というのがあって, 内容は「任意の三角形に対し各辺を 辺とする正三角形を描き, これら
つの正三角形の重心 (外心、内心、垂心) 同士を結んだとき, この三角形は正三角形となる」というものである.
点 を中心に点
を
回転させると
に移る. さらに点
を中心に点
を
回転させると
に移る. 点
を中心に点
を
回転させると
に戻る. したがって三角形
は正三角形である.//