高校物理も、音のドップラー効果と交流回路をやれば、ほぼ一通り説明したことになる。
さて、音のドップラー効果だがこんな説明をするかすまいか迷っている。
1) 観測者が静止音源に一定速 で近づく場合
16 歳のアインシュタインは光を追いかける夢を見たそうなので、音の速さ で動く座標系を考えても突飛とはいえまい。その座標系から見ると音は進行せず、観測者は音源の方に で動いて見える。そうすると、振動数を求める問題は、一定間隔で立っている電柱を一定速度で走る車から見たときに単位時間に何本過ぎていくかという問題と同じである。したがって、
2) 音源が静止観測者に一定速 で近づく場合
この場合、音源が静止している場合に較べて、波長が短くなるという説明がわかりにくいらしい。理由は二つのものを同時に動かして考察するためかもしれない。
そこで音源が止まって見えるように、音源と同じ速度で動く座標系を考えると、そこでは、音速は で、観測者は音源の方に の速さで近づいている。これって (1) で音速が に変わっただけである。したがって
更なる一般化も容易である。
※ 音源が音波の進行方向に動くと波長が音源が静止しているときよりも短くなるというのがしっくりこないなら、(1) でやったように音の速さ で動く座標系で音源を見てみるのもよいかもしれない。その座標系だと音源は の速さで後退していく。そのときに音源の単振動がどういう軌跡を描くかを考えるとよい。(その軌跡が静止した音波である。)
※ ちなみに光の場合に
と仮定して を求めてみると、
となる。このことは、動いている方の時計の進みの遅れによって振動数 (時間の逆数である) を補正してやれば光のドップラー効果が得られることを示している。光の場合は止めてみることはできないが、光源が 秒間 の距離だけ静止した観測者の方へ進んだときに、 秒前の光は 進んでいるのだから、補正した振動数 を使って波長は となる。したがって観測者が観測する振動数は、 である。