ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (129)

国立天文台のホームページには面白いことがいっぱい書いてある。

春分と秋分の日には、昼と夜の長さは等しくならない。

これは二つ大きな要因がある。

まず、日の出、日の入りは太陽の中心でなく、日の出は太陽が少しでも見えたとき、日の入りは全部沈んだときとして、日本では定義しているということがある。太陽の視直径を 0.53 度、緯度を北緯 35 度とすると、移動距離 (緯度の影響で水平線に斜めに太陽は動く) の差は日の出、日の入合計で、0.65 度ぐらいになり、1.0 度あたり 4.0 分に相当するから 2.6 分ぐらいの差になる。

もうひとつの要因は、地球大気は上空にいくほど密度が薄くなって屈折率が小さくなることである。地平線近くでは太陽光線が屈折して 0.58 度ぐらい地平線より下にある太陽が見える。この影響が日の入り日の出合計で、1.4 度くらいあり、時間にして 5.7 分ぐらいの差になる。

すると合計で 大体 8 分ぐらい昼が長いという計算になる。例として、2021 年の春分の日は 3 月 20 日で、秋分の日は 9 月23 日である。神奈川県 (横浜) だと、

3/20
日の出→ 5:45
日の入→ 17:53
日の入ー日の出 → 12h08min

9/23
日の出→ 5:30
日の入→ 17:37
日の入ー日の出 → 12h07min

となって、ほぼあっている。

さらに、春分と秋分の日では、15 分ほど春分の方が日の出日の入りが遅くなっている。これは太陽の南中時刻が春分の日の方が 15 分遅いためである。

このずれについては、地球の公転軌道が実際には楕円形であるためといってよいと思う。地球の公転が近日点にくるのは、現代では、1 月 2 日から 1 月 5 日の範囲である (長期的にはもっと変動する)。遠日点は 6 ヶ月後だから 7 月上旬である。そうすると、ケプラーの第 2 法則 (角運動量保存) から、春分の日は地球の公転速度が秋分の日よりも速い。公転速度が速いほど、地球の正味の自転周期が長くなってくるから、南中時刻は近日点の近傍では、日に日に遅くなり、遠日点の近傍では日に日に早くなる。

以前にも触れたように、南中時刻が 1 年で変動する要因にはもうひとつあって、それは、地球の地軸と太陽の中心を含む平面と、公転軌道を含む平面のなす角度が公転位置により変動することである。夏至と冬至のときには、平面のなす角度は 90 度なので、正味の自転角速度がもっとも遅くなり、その近傍では南中時刻が日に日に遅くなる。春分と秋分では、この角度が地軸の傾き 23.4 度分まるまる小さくなる*1ので、公転の影響をその分受けにくくなって、正味の自転角速度はもっとも早くなる。したがって、その近傍では南中時刻は日に日に早くなる。しかし、春分と秋分の南中時刻の比較ではこの要因は影響しない。

なお、以下のグラフは国立天文台のホームページにあるものを使わせていただいた。




植物にとって日照時間というのは非常に重要な要素なので、立春というのは「暦の上だけ」の話ではないなあ。

ヤブツバキ。

ウメ。

アオジの雌だと思う。スズメよりもはるかに人懐っこい。アオジは渡り鳥で関東では冬だけに見られる。

*1:自転の角速度を  \omega_{rot}、公転の角速度を  \omega_{rev} とし、公転面と、太陽の中心と地軸を含む面のなす角を  \phi とすれば、正味の自転の角速度は  \omega_{rot} - \omega_{rev}\sin \phi となる。思考実験として太陽の中心に観測者をおいて、公転角速度で回りながら常に地球の中心に視線を向けて観測したとき、地球の自転が (観測者から見た) 地軸の傾きの変化に応じてどう見えるかを想定すればよい。