塾で高校生に三角関数を教えていたら、倍角とか半角の公式が覚えられないといってきたので、少しびっくりして「なんで覚える必要があるの?」と思わず聞き返してしまった。
それで思い出したんだが、昔、受験参考書かなんだったか、
は覚えておこうとかあって、その受験参考書がはらみもつ前提みたいなものがにわかに信用できなくなったことがあった。初等教育で暗記することは必要なこともあり、一概に否定するつもりはないが、この場合、わざわざ覚えるなら、その時間でもっとましなことを覚えた方がよいと思ったからだ。もちろん、自然に覚えてしまうというのは別の話である。
だいたい、
で簡単に求まるし、そもそも 桁で
の位が
のかけ算は非常に簡単で、
だから、
1) と
を足して
2) 倍して、
3) それに を足して答えは、
である。これを使えば、
なんて暗算できる。受験参考書がなんでも暗記させようとするのは、過程を理解してより根本的で役立つことに触れさせることから隠蔽するためなんだろうかと疑いたくなる。
乗法なんかでも、素数を考えてするのとしないのではセンスに大きな差がでるが、そんな基本的なことを注意してくれる受験参考書はなかった気がする。たとえば、素数 と
があれば、その積は
で簡単になるとか、
との積は簡単に計算できるとかである (ただし、日常生活で、自分の誕生日は素数だと自慢したり、「
円ください」とかするのは度をこしていると思う)。
次の問題は、灘中の算数入試問題であるが、さすがに素数をいつも意識していますか、という問題になっている。
【問】
次の を求めよ。
【答】
まず、「落ち着け、素数を数えるんだ」で素数を確認する。 が素数であるかを判定するには、
以下の数字で割り切れるかである*1。
は素数、
で、
は
でも
でも割りきれないので素数。
も同じようにして素数。
、
は、
と
で割り切れるかだけ確認すればよいが、たとえば、
で割り切れるかの判定方法*2を知らなくても、法
で、
みたいにして確認すればよい。 は素数である。
以上から、
である。