ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

陥没地帯 (34)

高校の物理をものすごく久しぶりにひととおりやって懐かしかった。高校物理の範囲だとアプリオリに認めなければいけないことがいくつかあるなあ。たとえば、屈折率の小さい方から大きい方に向かう光が境界面で反射するときには位相が  \pi ずれるというようなことがそうである。その前に固定端反射の場合は反射波は位相が  \pi ずれるということが教えられて縦波である気柱の振動にまで適用されるので、じゃあ光の反射の場合の固定端反射ってどういうこと?と悩むことになる。この疑問に直観的に答えるには、たとえば空気から水に入射した光 (電磁波) が屈折するのは、電気双極子とみなされる水の分子が入射光の電場の電気力で振動することで自らも電場を作り、その電場の重ね合わせの結果が屈折光であるぐらいはわかっておく必要がある (電気双極子は高校物理で名前が出てくるかどうかわからないが、コンデンサの極板間に誘電体を挿入すると電場がどうなるかは習う)。つまり水分子によって新たに作られる電場は、屈折光の一部と反射光のすべてに寄与しているということである。ところで、水の中では空気の進路の延長上の経路 (つまり水がないときに入射光が通る経路) の入射光の電場は電気双極子が作る電場との重ね合わせの結果打ち消されている。電気双極子が作る電場の位相は、その線上では入射電場の位相に対して  \pi だけずれて振幅の大きさと偏光の向きは入射光と同じはずである。反射光は電気双極子がつくる電場の影響だけで生じているので、位相はだいたい  \pi だけずれることになる。反射光の電場の強さは光の電場が振動している向き、つまり偏光の違いによって大きく変わるが、ここではあくまで定性的な話なのでそこには触れない。

逆に水から空気に向かう界面で光が反射する場合は、今度は反射光の方に水があるが、水の中で作られる電場が空気の方に現れる屈折光を水の中では打ち消していると考えればよい。先程との対称性から自由端反射に相当する反射でないと打ち消せそうにないことがわかると思う。

そもそも、屈折率  n の物質の中では光の位相速度は  c/n になるということも認めなければならない。もちろん、屈折率が 真空中の  1 より小さくなることがあり、したがって位相速度が真空中の  c よりも大きくなることがあるという事実も隠蔽されている。ついでにいうと僕が学生の頃は、群速度は  c を超えないと説明されていたが、今では群速度も  c を越える場合があることが実験で確かめられている。

なお、光でいうと、前の記事の日影曲線で出てきた双曲線が、同一波長、同一位相の二つの点光源による干渉でも出てくることに気がついた。つまり、点光源が置かれている位置を焦点として、光路差が一定の場所は双曲線を描く(なお、光路差は光源間の距離を超えることはない)。

花の写真の方は、鳳仙花の良いのがなかなか見つからない。

ユリ。

自生しているヤマユリをやっと見つけた。

オニユリ。

グロリオサ。

シュウカイドウ (秋海棠)。この時期に咲くのは雄花。子規が晩年描いた「草花帖」にこの花の絵が残されている。明治 33 年 (子規 32 歳) にホトトギスで発表された『画』と題されている随想にはこうある。

秋になって病気もやや薄らぐ、今日は心持が善いという日、ふと机の上に活けてある秋海棠を見ていると、何となく絵心が浮んできたので、急に絵の具を出させて判紙展べて、いきなり秋海棠を写生した。葉の色などには最も窮したが、始めて絵の具を使ったのが嬉しいので、その絵を黙語先生や不折君に見せると非常にほめられた。

ムラサキナツフジ (紫夏藤)。

ヌマトラノオ。

ミズヒキ。

イヌタデ。

スペアミント。

ヤノネボンテンカ。

ダリア。


【問】

 f(x) = x^2 + 7 とおく。

 \text{(1)} n 3 以上の自然数で、ある自然数 a にたいして f(a)2^n の倍数になっているとする。このとき f(a) f(a + 2^{n-1}) のうち少なくとも一方は  2^{n+1} の倍数であることを示せ。

 \text{(2)} 任意の自然数 n に対して  f(a_n)2^n の倍数となるような自然数  a_n が存在することを示せ。

【解】

 \text{(1)}  f(a) f(a + 2^{n-1}) のどちらも  2^{n+1} の倍数でないと仮定する。すると

 f(a) = a^2 + 7 = 2^nk
(k は 奇数)

とおける。上式から、 a^2 は奇数、したがって  a は奇数である。一方、

 f(a + 2^{n-1})\\
= (a + 2^{n-1})^2 + 7\\
= a^2 + 2^na + 2^{2(n-1)} + 7\\
= 2^nk + 2^na + 2^{2(n-1)} \\
= 2^n(k + a  + 2^{n-2})

であるが、上式の最後を見ると、 n  3 以上の自然数だから  2^{n-2} は偶数。また  a, k は奇数だから  k + a + 2^{n-2} は偶数となり、 f(a + 2^{n-1}) 2^{n+1} で割り切れることになって仮定と矛盾する。 以上から、 f(a) f(a + 2^{n-1}) の少なくともどちらかは、 2^{n+1} の倍数である。

\text{(2)} まず、 a_1 = 1 とすれば、 f(a_1) = 1^2 + 7 = 8 で、8 2 の倍数だから、自然数  a_1 = 1 が存在する。

ここで、 n = k のとき、いかなる自然数  a_k をとっても、 f(a_k) 2^k の倍数とはならないと仮定する。そうすると、そのような自然数 k には最小値が存在するので、それを  m とする。 ここで  a_1 は存在したので、  m \gt 1 である。すると、 m より小さな自然数  s で、 s + 1 = m となるものが存在する。 s \lt m であるから、 f(a_s) 2^s の倍数となる  a_s が存在する。問  \text{(1)} の結果から、 f(a_s) と  f(a_s+ 2^{s-1}) のうち少なくとも一方は  2^{s+1} = 2^m の倍数である。そうすると、 a_m が存在することになって、仮定と矛盾する。以上から任意の自然数 n に対して  f(a_n)2^n の倍数となるような自然数  a_n が存在する。//