ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

ああ、そうか (2)

発音とか聞き取りやっていると、ベトナム語だけでなく、いろいろなことに気がつくなぁ。今度は、日本語の五十音図で「あかさたなはまやらわ」と言ってみたら「や」だけ「あ」の発音が違う。この「あ」は英語の /æ/ で通用する。

ベトナム語の ư は /ɯ/ だとすると、日本語の「す」の母音の「う」だと中舌すぎるので、「シュークリーム」の「シュー」の「う」だと説明すればよい。そこから唇を突き出せばもちろん /u/ になる。単独で日本語の「う」を唇を丸めないで発音すると「す」と「シュー」の中間ぐらいになるので、ư は日本語の (東日本に多い)「う」から唇をもう少しだけ左右に緊張させた位置だと思う。

それから、日本語の「ら」を発音してみると、子音の部分で舌先が上の歯の裏側と上の歯茎の裏側の境ぐらいにつくが、この位置に舌先をつけたまま英語の /l/ を発音しようとしても、相当無理しないと側面から息が出ていかない。舌先を少しだけ上げて歯茎の方に移動させると、簡単に /l/ の音が出るようになる。この差は大きく、やっぱり英語の子音の /t/ /d/ (いったん舌先全面が歯茎につく) /s/ /z/ (舌先の中央部のみを開放する) /l/ (舌先の左右側面のみを開放する) なんかは日本語のときより舌の位置を持ち上げて明確な歯茎音にし、/ʃ/ とか /ʒ/ とかは少し唇を丸めて発音するという説明は正しいと改めて感じた。日本語の舌先の位置だと、たとえば Little のような t → l のように側面開放が必要な子音連続をしようとしても息が詰まってうまく発音できない。

前の記事で /ɔ/ と /o/, /ɛ/ と /e/ の聞き取りについて書いたが、これは英語のリスニングでも有用である。米語の場合は /ɔ/ 〜 /a/と /oʊ/, /ɛ/ と /eɪ/ が対立するのだが、二重母音はしばしば二重母音性を失って長母音のようにしか聞こえない場合がある。このような場合には、口の開き方の差を聞き取るしかない。