ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

方向音痴

方向音痴なので、右も左もわからないが、1991 年のベルリンの壁崩壊を社会主義に対する資本主義の勝利などと言うのは、決定的に間違っている気がしてならない。逆にソーシャル・ビジネスと普通のビジネスの違いも何かよくわからない。ソーシャルとわざわざつけるのは、タックス・ヘイブンを利用して法人税の支払いを巧みに避けたりして、要するに儲かれば、社会への再配分などどうでもよく、所得格差を助長しても良いんだと思わせるような金融グローバリズム企業や、その真似をしている感のある巨大 IT 企業が存在するせいなのかもしれない。

資本主義と計画的な社会福祉がうまく噛み合ったときに、それが何であるか結局よくわからない資本主義はなんとかうまくいくと思っているこちらとしては、つい伯爵夫人の言葉を思い出してしまう。名言だなあ。

でもね、二郎さん、この世界の均衡なんて、ほんのちょっとしたことで崩れてしまうものなのです。あるいは、崩れていながらも均衡が保たれているような錯覚をあたりに行きわたらせてしまうのが、この世界なのかもしれません。

東京オリンピックが終わったぐらいに未曾有の大不況がくるのではと何の根拠もなしに思っている自分としては、年金の最近の報道を見て、2,000 万円足りないとかいって老齢者の不安を煽り、まさかこのタイミングで素人に元本割れのリスクのある金融商品の購入を暗に推奨するのは殆ど振り込め合法詐欺ではないかとすら感じる (どう感じるかは人それぞれだが)。元気な内は働くのが一番で、若いときのように収入の多くを将来の貯蓄に回す必要もないし、多額の出費もないのだから、ほどほどの収入で良いのだ。「生活に対する勇気、明晰な精神、隔てなき友愛」(週刊 土曜日のスローガン) である。

ところで、「ファクトフルネス」にあるレベル 2 (下位中所得国) のアジアの国々 (インド、バングラデシュ、ミャンマー、パキスタン、ベトナム、フィリピンなど) は実質 GDP の成長率が 6 〜 7 パーセントぐらいで、過去の日本でいうと戦前よりも貧しくなった敗戦直後を脱却し、ようやく戦前のレベルまで回復した 50 年代から 、10 年間で所得倍増を謳った *1 60 年代の池田勇人内閣ぐらいの時期に相当する。国民健康保険制度なんかもこの頃整備されたのである。


伯爵夫人 (新潮文庫)

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*1:つまり年率 7 パーセント、実際には日本はそれ以上に成長した