ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

1967 年


前回の記事に 1967 年の前後のことを書いたが、『ルパン三世』の漫画アクションの連載開始は 1967 年であることを知った。ちばてつやの『あしたのジョー』が少年マガジンに連載開始されたのは、1967 年12 月だから、ほぼ同じ時期である。1967 年は、戦後すぐに生まれた団塊の世代が成人した時期で、人口ボーナス期にあたる典型的な高度経済成長期である。東京オリンピックが終わって不景気になったが、その後、大阪万博が終わる 1970 年までは、長期経済成長期 (いざなぎ景気) であり、1967 年はその真っ只中である。経済成長のひずみで、公害が大きな社会問題となった時期でもある。

1965 年に日本でもっとも大きな興行収入を上げた映画は、『007 ゴールドフィンガー』、1966 年は、『007 サンダーボール作戦』、1967 年は、一位ではなかったが、『007 は二度死ぬ』が二位であった。冒頭の写真は、1966 年のジョセフ・ロージー監督の『唇からナイフ』のモニカ・ヴィッテイである。この映画も 007 の影響を受けた漫画の映画化である。

1967 年は、鈴木清順の『殺しの烙印』が封切られた年である。フランスで 5 月革命があった 1968 年に、鈴木清順は日活を解雇されることになる。

1967 年には、日本映画にはどんな作品があったのか主な監督の作品で振り返ってみる。

中島貞夫監督は『兄弟仁義 関東兄貴分』の他に『あゝ同期の桜』『大奥(秘)物語』『続大奥(秘)物語』。

三隅研次監督は代表作といってよい『なみだ川』『座頭市血煙り街道』の他『雪の喪章』『古都憂愁』『 姉いもうと』。

石井輝男監督は『網走番外地 決斗零下30度』『決着』『網走番外地 悪への挑戦』『網走番外地 吹雪の斗争』。

大島渚監督は『忍者武芸帳』『日本春歌考』『無理心中日本の夏』。

佐藤純弥監督は『組織暴力』『続組織暴力』。

田中徳三監督は『兵隊やくざ 俺にまかせろ』『ひき裂かれた盛装』『兵隊やくざ 殴り込み』『残侠の盃』『陸軍中野学校 竜三号指令』。

マキノ雅弘監督は『昭和残侠伝 血染めの唐獅子』『日本侠客伝 斬り込み』『侠骨一代』『日本侠客伝 白刃の盃』。

若松孝二監督は、藤枝静男の小説『欣求浄土』で主人公が感心することで有名な『性の放浪』をはじめ、『日本暴行暗黒史 異常者の血』『網の中の暴行』『犯された白衣』『或る密通 (向井寛、山本晋也)』『続日本暴行暗黒史』『性犯罪』『乱行』。

足立正生監督は『避妊革命』『銀河系」。

大和屋笠監督は『荒野のダッチワイフ』。

池広一夫監督は『若親分千両肌』『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』『脱獄者』。

山下耕作監督は『兄弟仁義 関東命しらず』『男の勝負 関東嵐』『一心太助 江戸っ子祭り』『兄弟仁義 続・関東三兄弟』『男涙の波門状』。

鈴木則文監督は『男の勝負 仁王の刺青』
『侠客道』『任侠魚河岸の石松』。

山本薩夫監督は『にせ刑事』『座頭市牢破り』。

稲垣浩監督は『佐々木小次郎』。

井上梅次監督は『雌が雄を喰い殺す かまきり』『激流』。

今井正監督は『砂糖菓子が壊れるとき』。

江崎実生監督は『錆びたペンダント』『七人の野獣 血の宣言』『黄金の野郎ども』『夜霧よ今夜も有難う』。

大庭秀雄監督は『春日和』『稲妻』。

岡本喜八監督は『日本のいちばん長い日』『殺人狂時代』。

恩知日出夫監督は『伊豆の踊子』。

加藤泰監督は『懲役十八年』。

工藤栄一監督は『十一人の侍』『日本暗黒史 血の抗争』。

蔵原惟繕監督は『愛の渇き』。

五社英雄監督は『牙狼之介 地獄斬り』。

五所平之助監督は『宴』。

小林正樹監督は『上意討ち 拝領妻始末』。

斎藤武市監督は『君は恋人』『恋のハイウェイ』『君が青春のとき』『ザ・スパイダーズのゴーゴー向う見ず作戦』。

佐伯清監督は『残侠あばれ肌』『渡世人』『続渡世人』。

島耕二監督は『ラーメン大使』。

瀬川昌治監督は『暗黒街シリーズ 荒っぽいのは御免だぜ』『喜劇 急行列車』『喜劇 競馬必勝法』『喜劇 団体列車』。

勅使河原宏監督は『インディレース 爆走』。

豊田四郎監督は『千曲川絶唱』『喜劇 駅前百年』。

中平康監督は『喜劇 大風呂敷』『青春太郎』。

中村登監督は『智恵子抄』『惜春』。

成瀬巳喜男監督は『乱れ雲』。

西河克己監督は『陽のあたる坂道』『夕笛』

西村昭五郎監督は『東京市街戦』『青春の海』『花を喰う蟲』『波止場の鷹』。

野村芳太郎監督は『男なら振りむくな』『あゝ君が愛』『女たちの庭』『女の一生』。

長谷部安春監督は『爆弾男といわれるあいつ』『みな殺しの拳銃』。

降旗康男監督は『懲役十八年』『ギャングの帝王』。

舛田俊雄監督は『星よ嘆くな 勝利の男』『嵐来たり去る』『対決』『虹の流れ星』
『血斗』。

増村保造監督は『花岡清州の妻』『妻二人』『痴人の愛』。

森一生監督は『若親分凶状旅』『あの試走車を狙え』

安田公義監督は『東京博徒』『悪名一代』
『やくざ坊主』『座頭市鉄火旅』。

山田洋次監督は『愛の賛歌』『喜劇一発勝負』『九ちゃんのでっかい夢』。

吉田喜重監督は『炎と女』『情炎』。

前にも書いたが、60 年代の終わりから 70 年代にかけては、いわゆる「印象批評」にかわる新しいタイプの映画批評が本格的に勃興した時期であり、波多野哲朗、山根貞男さんたちが立ち上げた映画雑誌『季刊 シネマ 69 - 71』で、上野昂志さんや、蓮實重彦さんも本格的に映画批評を書き出すことになる。上に挙げたような作品を見ただけでも、作品の物語を要約し、その背後にある社会性や人間性を超越的に語る印象批評はすでに多くの作品のおもしろさを正当に評価できそうにないことがわかる。この当時の映画は明らかに二番煎じやシリーズの企画が増えており、撮影現場において付加価値が生み出される比重が高くなっているのである。大部分の作品が単なる娯楽作品として徹底的に無視され、その生きた面白さを画面に見ているはずなのに、だれもそれを充分に語っていなかったのである。

上野昂志さんが書いていることを引用してみる。

(前略) (われわれには) ある共通点があった。それは、映画には、そこで語られる物語の意味や思想といったものに決して還元することのできないおもしろさがあり、その、さしあたって映画的とでもいうしかないおもしろさを、それにふさわしいことばでとらえたいという姿勢である。これは三人の同人(手島修三さんを含む) ばかりでなく、そこに初めて映画批評を書いた蓮實やわたしにも共通なものであった。そして、きわめてプリミティブなこの姿勢は、西部劇やチャンバラ映画に胸おどらせてきたわれわれの映画体験から発していると同時に、あのころ世間に流通していた批評に対する反撥に裏打ちされてもいたのである。


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