残念ながらリアルタイムで見た訳ではないけど、東映が他社を圧倒していた 60 年代のやくざ映画全盛の頃って本当に面白いなあと回顧しつつ、全編無許可で京都をロケーションしたという、まるでヌーヴェルヴァーグのような味わいのある、たまらなく愛おしい中島監督のこの 1966 年の出世作を見直した。
蓮實さんは、1967 年の中島監督の『兄弟仁義・関東兄貴分』について、ごく他愛もない感傷だと断りつつも、
何の期待もなく映画館の暗がりに滑りこんでいっただけで、こんな作品にめぐりあうのが日常的な体験でありえた時代がただなつかしい。(中略) その体験は、敗戦によってアメリカ映画を識ったものにとっては、ありえない過去の再現であり、幸福すぎて恐ろしかった。
と書いている。
僕は中島監督の代表作である『ポルノの女王・にっぽん SEX 旅行』(1973) は見ていないんだけれど、DVD 出して欲しいなあ。しかし、作品とかけ離れたタイトルのセンスだけは、今では損しているような……。
ノスタルジーついでに荒木一郎の歌。