ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

鼻腔解放

下の曲を紹介した記事で、button の発音は息を溜めて破裂させる「閉鎖子音」/t/ の発音で息を破裂させるときに、次の子音 が同じ調音位置の /n/ なので、破裂した息はそのまま鼻腔に抜けていくという「鼻腔解放」を説明したことがある。なお、buttons and bows の d と b のように閉鎖子音が連続する場合は、前の方の閉鎖子音 d が破裂することはなく、調音位置も b に同化する。

最近出てきた下の曲の postman の発音の場合、これに「同化」 という現象が加わる。要するに /t/ の破裂音は /m/ として鼻腔に抜けていく。これを容易にするために、/t/ は息を溜める段階で すでに /p/ の発音に近くなっている。さらに /t/ の前に /s/ があるので /t/ の音はほとんど聞こえなくなる。これは、同じく下の曲にある patiently の n と l の間の /t/ がほとんど聞こえないのと同じ理屈である。なお下の曲で「同化」の例は他にもあって、”in my eyes” の /n/ は 次の /m/ の影響を受けて /m/ に同化している。また、Wait, Mr. Postman のところの Wait の t も 次の Mr. の /m/ の影響を受けて /p/ に近くなっている。他にも沢山あるが羅列になるのでやめておく。

他に発音現象で最近面白かったのは、下の曲で、

Before I find a love to let me live again?

Right now, the only thing 

と歌うところで、right の前に変な子音が挿入されていることで、これは、again の /n /から /r/に移ろうとして /d/ または /t/ に近い子音が挿入されたのではと思っている。あるいは、again の n が前に /ɡ/ があるため /ŋ/ で済まされたために、r の前に /ɡ/ あるいは /k/ が挿入されたのかもしれない。