ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

カート・シオドマーク

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今日は JR 四ツ谷駅の近くの純喫茶に入ってなかなか良かったけれど、音楽がほとんどビートルズだけなのには参った。“Please Mr. Postman” 流すなら 1961 年の The Marvelettes のものにして欲しかった。それにしても凄い髪型。

前回の記事で『日曜日の人々』(1930) に関わった人の内、カート・シオドマークについて補足しておく。カート・シオドマークは、RKO 時代のドーリ・シャーリが製作した 『らせん階段』(The Spiral Staircase, 1945) で A 級映画デビューしたロバート・シオドマク監督の弟であるが、脚本や小説を書く前には、数学で博士号をもらっている。

彼の脚本として有名なのは、ジョージ・ワグナー監督の『狼男』 (The Wolfman,1941) である。「ドラキュラ」「フランケンシュタイン」とは異なり、「狼男」に関しては映画の描写を行う上でのヒントになるような伝承的事実が少ないことから、彼は「狼男」に関するかなりの物語をオリジナルで自ら創作した。たとえば、「狼男は銀を嫌う」「狼男は満月になると人間から狼に変身する」といったことはみな彼の創作なのである。この狼男に関する新たな設定は、その後の作品で繰り返し繰り返し使用され、やがて「狼男」の神話になってしまった。カート・シオドマークは、「狼男」の民間伝承を独力で創作してしまった男として記憶されるべき人物なのである。

1941 年の『狼男』は、第 2 期のユニバーサル・ホラーの代表作であるが、1944 年になると、第 2 期のホラー人気もふたたび下降線となり、ユニバーサル社は起死回生の策として『フランケンシュタインの館』(1944) で、ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男、マッドサイエンティスト他を総出演させる。この脚本もカート・シオドマークが担当しているのだ。

 

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