なんかネタがないので、インターネットで「英語学習」のサイトを見ていたら、刺激を受けるどころか、だんだんムカムカしてきてすぐに見るのを止めてしまった。例えば、下のようなことが書いてあった。
たくさん英文を読んだり聞いたりしていると、「“He graduated Tokyo university” は不自然だな」と自然に感じる「英語の感覚」 が身に付いていきます。
これはきっと、
たくさん英文を読んだり聞いたりしていると、「“He graduated from Tokyo university” は不自然だな」と自然に感じる「英語の感覚」 が身に付いていきます。
の誤植なんだろう。昔ならいざ知らず、いまどきまともな社会人なら
He was graduated from Caltech.
→ 大学が卒業させてくれるわけでない。
He graduated from Caltech.
→ 大学を卒業すること自体が人生の目的 (焦点)ではない。
と感じると思うからだ。それに、もともと米国では “graduate from” は使わないことが多く使うと修正させられたことすらある。
というわけで、しょうがないのでなんか無理矢理に捻りだすことにする。
A cry escaped her lips.
これは凄い表現だと思う。普通は、
He escaped from the police.
みたいに from が入った過程表現で、警察署から逃げるという表現になる。もし、
He escaped the police.
だと彼は、現在警察にはいなくて、それから更に逃げる、つまり「彼は警察を避けた」という意味が普通だと思う。なぜそう感じるかは、うまく説明できるかどうか分からないが後で試みたい。しかし、
A cry escaped her lips.
の場合はちょっと違っていて、from を省略することで「思わず」「意図しないで」ということを表現しているんだと思う。それで、
He escaped the police.
に戻ると、これを考えるための糸口として
Refrain from smoking.
と
Refrain smoking.
の表現には、どんな微妙な差があるかを見てみると、下の表現は現在タバコを吸っている人 (あるいは習慣にしている人) にタバコを控えろという文脈で使われることが多いと思う。一方上の表現はまだタバコが吸われていない状況をそのまま継続しろという感じだと思う。
He escaped the police.
もし彼が現在 警察にいるのなら起点の前置詞 from は escape という動詞が「逃げる」過程に焦点をおいている以上省略できないはずで、彼は現在警察の外にいるとしか考えられない。そこからさらに escape するので 「避ける」と avoid に近い意味になるのではないかと思う。
もう一つ別の話題。sip は「少しだけ飲む」という動詞だが、
She sipped her drink.
She sipped at her drink.
は、辞書には同じ意味だとあるのだが本当にニュアンスの差はないんだろうか?ここでの前置詞 at はじっと見ていると本当に「ちびり」という感じがしてくるから不思議である。大きなマグカップのコーヒーを「ちびりちびり」飲んでいたり、ほんの僅か飲むのにもそこに時間をかけて焦点化されているような状況 (たとえば嫌々で口だけつけているような場合) なら下の過程表現の方が普通だと思う。しかし、小さなグラスに入った酒とか、コップの最後の残りを飲み干したんだったら、上の表現が普通なんではないかと思う。