最近はようやく「連結動詞」みたいなことが説明されてきているので、たとえば equal が「他動詞」だなんて、未だに信じている人もまさかいないと思うけれども、関連する話題として動詞 make について書いておく。
動詞 make には、下のように TYPE 1 のような「他動詞」的側面と TYPE 2 のような「連結動詞」的側面があることに気がつく (なお「使役」の用法は除いた)。
TYPE 1. Jane will make a new shirt.
TYPE 2. Jane will make a good wife.
TYPE1 の主語は目的語とはまったく別ものであるが、TYPE 2 の主語と目的語は同一物である。ただし、主語と目的語の関係を考えると、目的語を「完成物」と考えれば、主語は「未完成物」をあらわしていると考えられる。
TYPE2 のように MAKE が「連結動詞」的に使用されている例文を挙げておく。
This lid makes a good ash-tray.
Wool makes warm clothing.
Cold tea makes an excellent drink in summer.
This makes the fifth time I’ve been here.
Two and two make four.
Oxygen and hydrogen make water.
Those seven bright stars make the shape of a saucepan.
※ 北斗七星の説明
A group of people made a circle around the Pentagon.
Today’s earthquake makes five since the beginning of the year.
Those little bows round the neck really make the dress!
What really makes the book are the beautiful design.
One swallow does not make a summer.
以上見てきたように、主語は目的語の構成要素の全部であるとは限らず、決定的要素であってもよく、最後の要素 (今年で5回目のような例) であってもよい。
TYPE 1 と TYPE 2 を統合的に見ることも可能であろう。TYPE 1 は、
Jane will make a new shirt.
のように、主語は目的語に対してシャツを作るための「技術」や「エネルギー」を提供する「生産手段」である。つまり、シャツという「完成品」を作るための主要な「生産」を提供するものが、TYPE1 である。以下のような例では「生産手段」「完成品」という言葉を使うのはおかしいかもしれないが、言いたいことは分かってもらえると信じる。
He has made a dent in the back of my car.
そうすると TYPE 1 は「生産手段」を提供するもので TYPE 2 は「部品」を提供するものである。つまり MAKE において、主語は目的語が生み出されるための「不可欠」な因子として構成されているということである。日本語の「作る」は TYPE 1 で使うケースが殆どだが、TYPE 2 の表現も存在する。
美味しい酒米と良質な水が美味しい日本酒を作る。
でも、英語の make はこの表現を適用する幅がもっと広く、普通に使うと思う。