いまでも、高校野球の応援の定番としてよく耳にする。1917 年の The Original Dixieland Jazz Band の演奏が最初の録音だが、この曲自体は曲調は異なるもののそれ以前からあったとされている。白人が越境して黒人の音楽を模倣することで新しい音楽を創造するという事態は、エルビス・プレスリーのときにも起きたことである。そして、この曲にはヨーロッパの白人音楽の逆の模倣も認められることは専門家が指摘している通りである。
非常にたくさんの録音 (1942 年までに136 のカバーがあるそうだ) があり全部はとても紹介しきれない。Wikipedia の悪口は言い飽きたが、英語版の記事ですらきちんと紹介されている 1935 年の中野忠晴 (コロムビア・リズム・ボーイズ、コロムビア・オーケストラ、仁木他喜雄 編曲) の日本ポピュラー音楽史に残る演奏に一言も触れていない日本版の Wikipedia とはなんなんだろう。
20 世紀ポピュラー音楽の神話の域にまで達したと呼ぶべき Art Tatum の Tiger Rag の録音は 4 回行われている。最初は1932 年 8 月 5 日の録音で当時はテスト・プレスのみであった。この録音は知られている限り、Tatum 自身(当時21歳ぐらい)の最初の録音でもある。次が 1933 年 5 月 21 日でこれは正式にリリースされたため、この録音を Tatum の最初のレコーディングとする資料もある。三回目は 1935 年の 12 月に録音されたとあるが、この録音はYouTubeで見つけることができなかった。四回目の、そして最後の録音は 1940 年 2 月 22 日である。
1917:
Original Dixieland Jazz(Jass) Band:
※ Nick LaRocca (cnt,dir), Eddie Edwards (tb) , Larry Shields (cl), Henry Ragas (p), Tony Sbarbaro (d)
※ レコードのレーベルに Jazz ではなくJass が使用されている。ニューヨークのピアノメーカーであった The Aeolian Piano Company が1916年に設立したのが Vocalion である。この時期、レコードの溝はまだ vertical cut 方式であった (1920 年に lateral cut に移行)。1925 年にレーベルは、Brunswick によって買収される。レコードのヒットは、彼らが 1918 年にビクターで吹き込んだものを待たなければならない。
1918:
Original Dixieland Jazz Band:
※ Victor 18472
1922:
New Orleans Rhythm Kings:
※ Paul Mares (cnt), George Brunies (tb), Leon Roppolo (cl), Jack Pettis (ts,c-mel), Elmer Schoebel (p,arr,dir), Lou Black (bj), Steve Brown (b), Frank Snyder (d)
※ レコードのレーベルは、Gennett になっているが、録音スタジオはニューヨークの方でなくリッチモンドの方である(つまり録音環境の良くない方)。バンド名がまだ Friars Society Orchestra であることも確認できる。実際、これは彼らが初めて録音した中の一曲である。
1923:
Ted Lewis and his Band:
1924:
Wolverine Orchestra:
※ Bix Beiderbecke (cnt), Jimmy Hartwell (cl) , George Johnson (ts), Dick Voynow (p,ldr), Bob Gillette (bj), Min Leibrook (tu), Vic Moore (d)//
Jelly Roll Morton’s Kings of Jazz:
1925:
California Ramblers:
※ Frank Cush, Red Nichols (tp), Tommy Dorsey (tb), Jimmy Dorsey, Arnold Brilhart (cl,as), Freddy Cusick (cl,ts), Adrian Rollini (bassax,p) , Irving Brodsky (p), Tommy Felline (bj), Stan King (d, kazoo), Ed Kirkeby (dir)
1926:
University Six:
※ Roy Johnston (tp), Tommy Dorsey (tb), Bobby Davis (cl,sop,as), Adrian Rollini (bassax,goofus) , Irving Brodsky (p,arr), Tommy Felline (bj), Herb Weil (d,kazoo) //
Ted Lewis and his Band:
1927:
Charles Dornberger and his Orchestra:
1928:
Tommy Dorsey (t):
Tub Jug Washboard Band:
※ Herman Brown (washboard, tub drum, kazoo), Martell Pettiford (banjo), Carl Reid (jug, jazzhorn)
※ この三人組のジャグ・バンドは、ブルース最初期の名女性歌手として名高いマ・レイニー (Ma Rainey) が見出し、彼女のバックをつとめた。この録音は彼女に見出されたバンドが慣れるために単独で 6 月 11 日にパラマウントのスタジオで録音した曲の一つである。//
1929:
Duke Ellington’s Orchestra:
※ part 1
※ part 2
※ Bubber Miley, Freddy Jenkins, Arthur Whetsel (tp), Joe "Tricky Sam" Nanton (tb), Barney Bigard (cl,as), Johnny Hodges (as,sop), Harry Carney (bar,cl,as), Duke Ellington (p), Lonnie Johnson (g), Fred Guy (bj), Wellman Braud (b) , Sonny Greer (d) //
Maestro Sam Wooding y sus Chocolate Kiddies:
The Ingenues:
※ フルで見たい人はこちら。この時代であれば同時録音である。
Tiger Rag: The Ingenious All Girl Band of 1929 - YouTube
1930:
Paul Whiteman and his Orchestra:
Louis Armstrong:
1931:
Fletche Henderson and his Orchestra:
※ Russell Smith, Bobby Stark (tp), Rex Stewart (cnt), Benny Morton, Claude Jones (tb), Russell Procope (cl,as), Harvey Boone (as), Coleman Hawkins (cl,ts,bar), Fletcher Henderson (p), Clarence Holiday (g), John Kirby (tu,b), Walter Johnson//
Red Devils:
Mills Brothers:
1932:
Washboard Rhythm Kings:
Art Tatum:
1933:
Maple City Four:
Art Tatum:
※ 最初の演奏が 1933 年のもの。
Harry Roy and his Orchestra:
Ray Noble and his Orchestra:
1934:
Georgia Washboard Stompers:
※ 1932 年にある The Washboard Rhythm Kings はこの時期、この名前で活動していた。もともとメンバーが一定していないジャズ演奏家の集団であった。//
Jack Payne and his Band:
1935:
中野忠晴、コロムビア・リズム・ボーイズ:
Nat Gonella and his Georgians:
1936:
Original Dixieland Jazz Band:
※ この時期、ODJB は一時的に(約2年間)再結成された。//
Benny Goodman Trio:
1937:
Larry Adler:
Andre Ekyann & Django Reinhardt:
1938:
Jerry Roll Morton:
Teddy Wilson:
1940:
Art Tatum:
Alvino Rey and his Orchestra:
1945:
Benny Goodman Sextet:
1946:
Django Reinhardt & Duke Ellington’s Orchestra:
※ “Ride, Red, Ride” は、Tiger Rag の変種といっても良い。シカゴ Civic Opera House でのライブ録音。
1952:
Les Paul & Mary Ford:
1959:
Louis Armstrong:
※ スウェーデンのライブ
※ サッチモは 20 年代からこの曲の演奏を行っており録音も非常に多く残されている。