この前の記事で出てきた Nina Simone の名前の由来は、シモーヌ・シニョレからであったなとふと思い出し、そこから自然に映画史の傑作であり、その端正ともいうべき古典的な語り口の簡潔さと生々しいフィルム的感性を奇跡のように両立させた稀有な作品であるジャック・ベッケル監督の『肉体の冠』(casque d'or, 1951) のすべてが素晴らしいショットをあれこれと思い出していると、ベッケルが『現金に手を出すな』(Touchez pas au grisbi, 1954)で使った Jean Wiener の曲のことが思い出された。もちろん、Wiener はベッケルだけではなくロベール・ブレッソンを始めとして他の多くの (300 作以上といわれている) 映画の音楽を作っている。そういえば、蓮實重彥が Wiener が亡くなった 1982 年に書いていたのも今思い出した。
「文化国家たる日本はまたしてもこの文化的な死を黙ってやりすごしてしまったのかと悲しい気持にならざるをえない」
ようするに、その死は 80 年代の日本では徹底的に無視されたのである。
1965:
Love for Sale:
1953:
Grisbi:
1937:
A Gershwin Cocktail:
1933:
Souvenir du Bœuf sur le toit:
1928:
Bœuf sur le toit:
※ ダリウス・ミヨー自身のアレンジによる『屋根の上の牛』
1927:
These Charming People:
Bye Bye Blackbird:
1926:
Je te veux:
1925:
Charleston:
I Wonder Where My Baby Is Tonight:
Yes Sir, That’s My Baby:
※ もちろん Nina Simon が 1958 年に歌った “My Baby Just Cares for Me” と同じく、元々はエディ・カンターが歌った曲である。
My Baby Just Cares for Me (Nina Simone):
My Baby Just Cares for Me (Eddie Cantor):
Yes Sir, That’s My Baby (Eddie Cantor):