Wikipedia の杜撰さなど今に始まったことではないが、サラ・ヴォーンの若い頃の記述は、
1940 年代にデビュー。1947 年に “It's Magic” が初めてのヒット曲となり、大型新人として注目を集めた。
だけである!まず、“It’s Magic” は録音は 1947年 12 月 27 日であり、ヒットしたのは 1948 年であるという基本的なところから間違えている。それにヒット・チャート入りしたということが大事ならば、“Tenderly” の方が先である。ビッグバンドがまだ華やかで歌手はバンドの専属として歌っていた時代にレコードのヒットで始めて「大型新人として注目を集めた」ということがありえるのかという疑問はおいておくにしても、これ以前の Sarah Vaughan の歌はどこに消えていったのだろう。「ビバップのスタイルを歌唱に活かした」と書くならば、1948 年以前のビバップにとって重要な時期をあっさり省略すれば、その記述は単なる抽象に過ぎなくなると思わないのだろうか。
というわけで、Wikipedia の紋切り型記述に従うならば、「大型新人として注目を集める」 1947 年以前の Sarah Vaughan の曲を自分の耳で聴くことにする。
I’ll Wait and Pray (1944):
彼女にこの録音の機会を提供したのが、短期間ではあったが「ファースト・バップ・バンド」として名高いビリー・エクスタイン (Billy Ecksteine) のバンドである。
No Smoke Blues (1944):
Interlude (A Night in Tunisia, 1944):
Signing Off (1944):
Time and Again (1945):
Lover Man (1945):
※ バックに、Dizzy Gillespie , Charlie Parker, Al Haig がいても Wikipedia にとっては些細な事実で無視しても構わないのだろう。
Mean to me (1945):
※これなんかは、ドラムに Max Roach が加わっている。
If You Could See Me Now (1946):
I’ve Got a Crush on You (1946):
Everything I Have Is Yours (1947):
Don’t Blame Me (1947):
My Kinda Love (1947):
I Cover the Waterfront (1947):
A Ghost of Chance (1947):
The Man I Love (1947):
Time After Time (1947):
I Cried for You (1947):
Body and Soul (1947)
Tenderly (1947):
It’s Magic (1947):
※ 映画のからみから特にヒットした曲は、それ以前の彼女の曲と一線を画すようなできだろうか。