新聞にまたくだらないことが書いてあると思いながら、若者の最近の消費性向に関する論評を何気なく読んでしまった。美術館にオリジナルの絵を見に行くのは、大量に出回っているコピーでその絵を「知っている」と思いこんでいる人間が、オリジナルもまたコピーに似ていることを確認して安心するためにすぎない。ライブが流行するのは、どこで本当に感動していいかを周囲の反応から指示される必要があるからだ。いまやみんなと繋がってそこで共有される「物語」が購買させるモノを規定するのであり、その逆ではないということがより徹底して起こっている。要するに繋がって共有された物語にもとづいてしか、リアルなモノは見えもせず、聞こえもしないという倒錯が歴史的に進行しているという退屈な事実の確認である。自分が何を食べたかすらが、共有されたわかりやすい物語による上気した承認を受けなければ決定されない時代の本格的到来。
クリスマス・ソングの続き。