この曲が最初に登場したミュージカル “No, No, Nanette” の初演を 1925 年と書き、この曲も1925 年に初めて登場したかのように記載する Wikipedia (英語版と日本語版双方) は、明らかに正確さを欠いている。ミュージカル “No, No, Nanette” はブロードウェイで上演される前の1924 年にすでにシカゴで上演されヒットしたために一年以上そこで公演を続けたという事情があるからだ。この曲は、そのシカゴ公演の際にミュージカルに初めて追加されたものである。実際、初期のレコーディングを探すと 1924 年のものの方が多いと思う。以上からこの曲が初めて登場したのは 1925 年ではなく、1924 年のことである。
Benson Orchestra of Chicago (1924):
※ 1924 年 8 月 28 日レコーディング
Helen Clark and Lewis James (1924):※ 1924 年 9 月 22 日レコーディング
Green Brothers Novelty Band (1924):
※ ザイロフォン奏者として有名な George Hamilton Green が所属していた楽団。この楽団は、ウォルト・ディズニーの『蒸気船ウィリー』(1928) を始めとするアニメーションに楽曲を提供していることでも名高い。
マリオン・ハリス(1925):
※ Marion Harris は、白人の女性歌手で初めてブルースやジャズ風味の曲をレコーディングしたことで名高い。
Palace Theatre Orchestra (1925?):
※ブロードウェイ公演と同じ 1925 年に、 ロンドン、パレス劇場でも “No, No, Nanette” は公演されている。
レッド・ニコルズ(1930):
テディ・ウィルソン(1936):
ベニー・グッドマン・カルテット(1937):
ジャンゴ・ラインハルト(1939):
コニー・ボスウェルとビング・クロスビー (1940):
アニタ・オデイ、ジーン・クルーパ (1945):
ダイナ・ショアとフランク・シナトラ (1947):
ドリス・デイ(1950):
ジョー・スタフォードとゴードン・マクレー(1950):
リー・ワイリー(1952):
江利チエミ(1952 or 53):
デューク・エリントン(1956):
トミー・ドーシー(1958):
アニタ・オデイ(1958):
付録:
ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ編曲(1927)
The Tahiti Trot: