天野喜久代の『愛の古巣』(1929)。
この原曲は、1928年のポール・ホワイトマン楽団の "I'm Winging Home"。歌っているのは、リズム・ボーイズ。ビング・クロスビーは、1926年にポール・ホワイトマン楽団に入団。リズム・ボーイズが結成され、そのメンバーになったのは、1927年のことである。
※ この曲は、1936年にもディック・ミネが『たのしき家路へ』というタイトルで録音している。
天野喜久代というと、もちろん、二村定一と一緒に日本ジャズソング史上初のヒット曲である『あほ空(青空)』と『アラビアの唄』のコロムビア(ニッポノホン)版を1928年(1927年という説もある) に吹き込んだことで名高い。『あほ空』の方を一応紹介しておく。
原曲の "My Blue Heaven" にも1927年にポール・ホワイトマン楽団のカバーがある。
もっとも "My Blue Heaven"は、1927年だけでも沢山のカバーがある。最も有名なのは、ジーン・オースティンのもの。
他にリリース年が1927年だとわかっているだけのものでも、ドン・ヴーヒーズ、
Ken Sisson 楽団、
Al Friedman 楽団、
コロムビアのスタジオ・サロン・オーケストラ、
Nick Lucas 、
"Whispering" Jack Smith のもの。
Rayner's Dance 楽団、
さすがに、これでやめるが1927年だけでも、まだ他のレコーディングがある。『あほ空』のアレンジは、いったい、どれを参考にしたのかを聴き比べしてみるのは楽しいかもしれない。