2022-03-14から1日間の記事一覧
(三) 聞けば聞く程筋のわからぬ 戀路のはじめと悟りの終り 能々たゞして見れば世間に多い事其時お妙は長江を渡る風輕(かろ)く雲を吹(ふい)ておぼろにかすむ春の夜の月大空に漂よふ樣に滿面の神彩(しんさい)生々(いき〳〵)と然も柔(やさ)しく、藍田(らんでん)…
(二) 色仕掛生命危ふき鬼一口*1と 逃げてまはりし臆病もの 仔細うけたまはれば仔細なき事年は今色の盛り、春の花咲き亂れたる樣に美しき婦人(をんな)と一ツ屋の中に居るさへ、我柳下惠(りうかけい)*2に及ぶべくもあらぬ身の氣味惡し。然しながら何千萬人浮世…