ノリの悪い日記

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

バタフライ・ライティング

マレーネ・デートリッヒへのライティングとして、彼女の出演作品のほとんどを撮影したリー・ガームスが採用したのは、鼻の下にできている黒い影が蝶々のように見えることから名付けられた「バタフライ・ライティング」である。もっとも、実際の撮影はほとん…

リオ・ブラボー

1959 年のハワード・ホークス監督作品。原題は、“Rio Bravo”。クェンティン・タランティーノ監督が女性と付き合うにあたっては、まず『リオ・ブラボー』が好きであるかどうかをさりげなく確認し、もし相手が好きでなさそうだったらそれ以上の付き合いは遠慮…

ボー・ジェスト / 私の殺した男

※ 戦地で中国の少年と 山中貞雄の遺稿 「青空文庫」に山中貞雄監督の遺稿となった従軍記がある。彼の最後の作品となってしまった『人情紙風船』(1937) は、8 月 25 日が封切日にあたる。その当日に山中へ召集令状がきた。同じ年の 10 月 8 日、彼は神戸から…

生活の設計

二年前の今日、ヌーヴェル・ヴァーグのミューズであったジャンヌ・モローがお亡くなりになった。下の写真は、マイルス・デイビスの喇叭を吹いている彼女の写真である。フランソワ・トリュフォー監督の『突然炎のごとく』(Jules et Jim, 1962) でカトリーヌ役…

忍者と悪女

下のクリップは、ヴィンセント・プライスがエドガー・アラン・ポーの詩「大鴉 」(The Raven, 1845) を朗読しているものである。プライスは、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のナレーションと笑いのパートを担当していることで記憶している人もいるかもし…

突貫勘太

エドワード・サザーランド監督『突貫勘太』(Palmy Days, 1931)。振付は天才バスビー・バークレー、撮影はグレッグ・トーランド、音楽はアルフレッド・ニューマン、製作はサミュエル・ゴールドウィン、出演はエディー・カンター、ゴールドウィン・ガールズ他…

引き裂かれたカーテン

「フラバー」の記事のところで女優アンナ・リーの名前が出てきたが、日本語の Wikipedia の「アンナ・リー」(Anna Lee) の項目を見ると、彼女がアルフレッド・ヒッチコック監督の『引き裂かれたカーテン』(Torn Curtain, 1966) に出演していることになってい…

裸足の伯爵夫人

ジョゼフ・L・マンキウィッツ脚本・監督『裸足の伯爵夫人』(The Barefoot Contessa, 1954)。ロバート・オルドリッチ監督の『悪徳(ビッグ・ナイフ)』(1955) やニコラス・レイ監督の『孤独な場所で』(1950) にもそういった趣きがあるように、この作品はハリ…

真夏の夜の夢

映画 『真夏の夜の夢』(A Midsummer Night's Dream, 1935) はマックス・ラインハルトとウィリアム・ディターレ監督によるワーナー作品である。全編、キラキラと光っている夜の画面を見ているるだけでも楽しい。撮影はハル・モーア (Hal Mohr) だが、日本語の…

うっかり博士の大発明 フラバー

1961 年、ロバート・スティーブンスン監督による実写のディズニー映画で、原題は、“The Absent-Minded Professor”。ロバート・スティーブンスンは、ディズニー映画を 19 本も監督していて、まさにディズニー映画の巨匠である。ジュリー・アンドリュースが出…

メリィ・ウィドウ

『メリィ・ウィドウ』(The Merry Widow, 1934) は、エルンスト・ルビッチ監督による MGM 映画である。亡くなられた淀川長治さんは、作品が気に入っているかいないかが、すぐに外から察せられる人であったが、この作品については、明らかに本当に褒めておられ…

周遊する蒸気船

フォックス社、1935 年公開のジョン・フォード監督作品。原題は、“Steamboat Round the Bend”。「ウィル・ロジャース三部作」と呼ばれる一連のフォードの人情喜劇のひとつで 『ドクター・ブル』(1933)、『プリースト判事』(1934) に引続く最終作にあたる。こ…

四人の息子

ジョン・フォード監督の 1928 年のメロドラマ (原題は “Four Sons”)。どうしたって、これは泣いてしまうなあ ← またしても。作品の最後のところで、ジョン・ウェイン (ラオール・ウォルシュの『ビッグ・トレイル』で主演に大抜擢されるのは 1930 年のこと) …

ジョン・フォードの記事

新聞が電子情報化されることの価値は過去の記事の検索が非常に容易になることだと思っている自分としては、それ以外の目的で課金される料金を支払う気にはとてもなれない。たとえば、The New York Times のサイトで、米国時間の 1928 年 6 月 10 日、日曜日…

果てなき船路

このフォードの作品 『果てなき船路』(The Long Voyage Home, 1940) は、昔はあまり面白いとは思わなかったんだけれど、最近見直しているうちにだんだん面白いと思うようになってきた。まず、オープニングのクレジット・タイトルにジョン・フォードとグレッ…